アパート経営で相続税対策!といううたい文句のダイレクトメールを見たことはあるでしょうか?
相続を考え始めた世代にとっては、気になりますよね。
ですがほとんどの人には、アパート経営は未知の世界でしょう。
そこで今回は、アパート経営で相続税対策ができる仕組みから丁寧に解説していきます
どうしてアパート経営すると節税効果があるの?
相続税の額はカンタンに説明すると、以下の数式で表せます。
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
課税財産×税率=相続税額
[/st-mybox]
税率は法律で定められているものですから、変えられません。
したがって税額を下げるには、課税財産をどうやって減らすか?という点に尽きます。
ちなみに課税財産は、実際の価値とは限りません。
例えば現金1億円を持っているとすると、課税財産として1億円が計上されます。
ではその現金1億円で土地を購入したらどうなるでしょう?
市場価格としては1億円の土地ですが、課税財産としては1億円を下回ります。
ケースにもよりますが、土地の評価額は市場価格の6割~8割ほど。
つまり[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
現金>不動産
[/st-mybox]となります。
このギャップを利用して相続財産の評価額を下げるというのが、アパート経営で節税する仕組みなのです。
現金1億円をアパート経営で節税する
では実際に例を挙げてシミュレーションしてみましょう。
現金1億円がアパート経営で、どれだけ圧縮できるのか?
土地を購入 | 5,000万円 | × | 0.8 | = | 4,000万円 |
---|---|---|---|---|---|
アパート建設 | 4,000万円 | × | 0.6 | = | 2,400万円 |
アパート賃貸(土地) | 4,000万円 | × | 0.8 | = | 3,200万円 |
アパート賃貸(建物) | 2,400万円 | × | 0.7 | = | 1,680万円 |
課税財産(アパート) | 3,200万円 | + | 1,680万円 | = | 4,880万円 |
課税財産(現金) | 1億円 | - | 9,000万円 | = | 1,000万円 |
合計 | 4,880万円 | + | 1,000万円 | = | 5,880万円 |
節税効果 | 1億円 | - | 5,880万円 | = | 4,120万円 |
まず現金5,000万円を使って土地を購入します。
この土地は市場価格5,000万円ですが、相続財産の評価額としては8割の4,000万円となりました。
そして現金4,000万円を使ってアパートを建設します。
このアパートの評価額は、6割の2,400万円となります。
建物は年が経つごとに評価額が下がるので、時間が経てば2,400万円より低くなっていきます。
そしてこのアパートで賃貸経営を始めると、さらに土地建物の評価が下がるのがポイントですね。
まず土地は更地の状態で評価額4,000万円でしたが、賃貸用建物が建ったことでさらに8割の3,200万円になります。
これを専門用語で貸家建付地といいます。
また建物も自用でなく貸家になりましたから、さらに7割の1,680万円。
アパートの土地建物を合計して、課税財産としては4,880万円になりました。
一方現金は1,000万円が残っていて、課税財産として1,000万円。
両方の課税財産を合計すると、5,880万円となります。
もともと1億円あった資産が5,880万円となり、40%超の節税になりました。
不動産による相続税の節税対策が盛んに行われているのは、こういうワケがあったのですね。
今ある土地を活用して節税する
次にすでに土地を持っているケースで考えてみましょう。
評価額1億円の土地にアパート建設をする想定です。
アパート建設費用はローンで賄うことにします。
アパート建設 | 4,000万円 | × | 0.6 | = | 2,400万円 |
---|---|---|---|---|---|
アパート賃貸(土地) | 1億円 | × | 0.8 | = | 8,000万円 |
アパート賃貸(建物) | 2,400万円 | × | 0.7 | = | 1,680万円 |
課税財産(アパート) | 8,000万円 | + | 1,680万円 | = | 9,680万円 |
課税財産(現金) | アパート建設費用 | = | -4,000万円 | ||
合計 | 9,680万円 | + | -4,000万円 | = | 5,680万円 |
節税効果 | 1億円 | - | 5,680万円 | = | 4,320万円 |
結果は5,680万円まで資産を圧縮できたので、こちらも40%超の節税になります。
ポイントはアパート建設費をローンで賄ったこと。
ローンは債務なので、相続財産からマイナスできるのです。
ローンは借金ですから、ネガティブな印象を持たれるかもしれません。
しかし相続税対策として考えると、ローンも有効に活用すると節税効果が高まるのです。
アパート経営のデメリットは?
こうして見るとアパート経営は良いことばかりに思えますが、もちろんデメリットもあります。
- 管理コストがかかる
- 空室になり賃料収入が減る
- 入居者がいると用途変更や解体ができない
こういったリスクも踏まえて、慎重に検討してみましょう。
アパート経営のリスクについては、別の記事で詳しい解説をしています。
まとめ~仕組みを知って賢く節税
アパート経営による相続税対策の仕組みは、ご理解いただけましたか?
しっかりとメリット・デメリットを理解した上で、賢く節税していきましょう。
コメント