相続税の申告を税理士さんに頼むと、費用はどれくらい?
税理士に限らず、こういった専門家に支払う報酬の相場というのは、なかなかわかりにくいですね。
今回は実際に税理士と仕事をすることも多い私(不動産鑑定士)が、相続税の申告にかかる税理士費用について解説していきます。
「実際にどのくらい支払うのか見積もりしてほしい」
そんな疑問に答えてくれるのが、税理士ドットコムというネットサービスです。
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税理士に支払う報酬は、相続財産の1%?
インターネットなどで調べてみると、相続税の申告で税理士に払う報酬は相続財産総額の0.5%~1%と解説しているところが多いようです。
大体の目安としては間違っていないのですが、もう少し細かく費用項目を見ていきましょう。
実際、税理士に見積もりを依頼すると、
- 基本報酬
- 追加報酬
- 実費
という区分けになっていますね。
順番に解説していきます。
基本報酬
基本報酬は相続財産総額に応じて、以下のような金額になっています。
相続財産の総額 | 基本報酬額 |
---|---|
~5,000万円 | 25~30万円 |
5,000万円~1億円 | 40~50万円 |
1億円~1億5,000万円 | 60~70万円 |
1億5,000万円~2億円 | 80~90万円 |
2億円~2億5,000万円 | 100~110万円 |
2億5,000万円~3億円 | 120~140万円 |
3億円~4億円 | 150~170万円 |
4億円~5億円 | 180~200万円 |
5億円超 | 別途見積もり |
基本報酬はおおむね、相続財産総額の0.5%程度でしょうか。
追加報酬
前項の基本報酬にプラスして、相続の内容に応じた追加報酬が設定されています。
土地の数(評価単位ごと)
土地の数が増えると、それだけ財産評価の手間がかかるので追加報酬が発生します。
ここで土地の数と言っているのは、筆数ではなくて評価単位ごとの数です。
筆数というのは登記簿謄本で地番が振られている土地の数。
一方評価単位というのは、土地の利用状況に応じた区分のことです。
例えば上図のように複数の筆に分かれた土地を、一体で自宅や事務所などに利用している場合、一体の土地として評価します。
しかし一つの筆であっても、図のように一部をアパートとして貸している場合は、それぞれ分けて評価することになるのです。
このように、利用実態に応じた区分けをするのですね。
注意しておきましょう。
[st-mybox title=”参考” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]No.4603 宅地の評価単位|国税庁[/st-mybox]
非上場株式
証券取引所で流通していない株券などを、総称して非上場株式と呼びます。
上場している株式が市場価格が明確になっているのに対して、非上場株式は取引されることが少ないので資産価値がわかりにくいですね。したがって非上場株式が相続財産に含まれていると、評価に手間がかかります。
例えばサントリーや竹中工務店といった大企業でも、非上場の会社は存在します。
相続する財産の中にこれらの非上場企業の株式が含まれていないか、確認しておきましょう。
[st-mybox title=”参考” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]No.4638 取引相場のない株式の評価|国税庁[/st-mybox]
相続人の数
相続人の数が増えると、それだけ遺産分割協議に時間がかかったり、申告書の数が増えたりします。
したがって相続人の数も、追加報酬の対象になりますね。
[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 基本報酬×10%×(相続人の数-1)[/st-mybox]
というふうに、基本報酬に一定割合を上乗せするところが多いようです。
申告期限が近い
親が亡くなってからなかなか動けずに、相続税の申告期限(10ヶ月)が迫ってから慌てて税理士に相談するという人がいますね。
これは余計な費用がかかる原因になります。
ほとんどの税理士事務所では、申告期限より3ヶ月以内の手続きについては追加報酬を上乗せしています。
遺産分割協議から申告書の作成まで、すべての手続きをスピードアップしなければいけないので、仕方ないですね。
申告期限までどのくらいの日数が残されているかによりますが、おおむね基本報酬に2~4割プラスという相場です。
親族間で争いがある
相続人の間で争いがあり、なかなか遺産分割協議がまとまらない……
こんなときも税理士に支払う追加報酬は高くなります。
申告期限に間に合わない場合は、とりあえず法定相続分で申告しておいて後で修正申告するといった対応を取らなければなりません。
相続が争続にならないように、注意したいですね。
実費
以上の報酬とは別に、申告のための費用の実費が上乗せされます。
調査費用
税理士が調査のために、相続財産の土地や納税地の税務署へ出張することがあります。
その際の出張費がかかることがあるのですね。
納税地から離れたところにある税理士事務所にお願いすると、この調査費用が多くなってしまうことも。
相続税の納税地は被相続人(亡くなった人)の住所を管轄する税務署で行いますから、亡くなった人の住所に近い税理士を探すほうが良いのです。 例えば自分が東京に住んでいるから東京の税理士にお願いしよう!となると、納税地まで税理士が出張することになりますから、税理士に支払う報酬が高額になってしまうこともあります。
気をつけましょう。
登記費用
相続した不動産を登記するときは、
- 法務局に支払う登録免許税
- 司法書士に支払う報酬
が登記費用としてかかります。
登記費用は土地の筆数や建物数で変わりますので、不動産を多く所有している人の相続が発生した場合は、登記費用も大きくなります。
不動産鑑定士への報酬
相続対象の土地を単純に路線価から算出する場合は、それほど手間はかかりません。
しかし、
- 周辺の土地よりも面積が大きい
- 傾斜が大きく利用価値が低い
- 埋蔵文化財包蔵地に指定されている
- 地下に埋設物がある
- 工場跡地で土壌汚染の可能性が高い
といった特殊な事情がある土地の場合は、別途私のような不動産鑑定士による鑑定評価を行ったほうが良いでしょう。
鑑定評価により財産評価が大幅に下がり、相続税の負担が減ることが期待できるからです。
こ
のような場合は、不動産鑑定士に支払う報酬が別途かかります。
報酬の相場は、更地で10~20万程度。
ただこの金額も権利関係などの事情によって変わりますから、別途見積もりをとる必要がありますね。
実際にどのくらいの費用がかかるかシミュレーションしてみた
では具体的にどのくらいの費用がかかるのか、例を挙げてみましょう。
- 相続財産の総額:9,000万円
- うち不動産:自宅の土地&建物
- うち非上場株式:なし
- 相続人の数:3名
- 争いや期限間近:なし
- 調査費用:なし
この条件だと、以下のように費用がかかります。
基本報酬 | 450,000円 |
---|---|
追加報酬 | |
土地(1区画) | 50,000円 |
相続人(3名) | 90,000円 |
実費 | |
登記費用 | 240,000円 |
合計 | 830,000円 |
9,000万円の相続に対して、費用が83万円となりました。
おおむね一般的に言われている相場(相続財産の1%)に収まっていますね。
ただこれはあくまでも概算なので、具体的な費用は各税理士事務所に見積もりをとる必要があります。
税理士に支払う費用が安ければ良いというものではない
実際に税理士にサポートを依頼するときは、複数の事務所から見積もりをとるほうが良いでしょう(相見積もり)。
ただし、ここで見積もり額が安いから良いというものではありません。
費用の多寡よりも、相続税の申告についてのサポート内容に注目してください。
- 報酬の基準は明確か?
- 実際に相続税の申告実績が多いか?
- 節税対策の相談に乗ってくれるか?
- 遺産分割協議書などの作成もお願いできるか?
- 税務調査が入ったときでも対応してくれるか?
このようなサポート体制に注目して、より信頼できる税理士を選びましょう。
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