東京都内でアパートを相続したけど、賃貸契約をしている余裕はないしなぁ……
資産として魅力的な不動産でも、相続して所有するのは荷が重いこともありますよね。
そういった場合は売却したほうが負担を残さないでしょう。
この記事では、東京都内のアパート売却事情や売却するときの注意点について解説していきます。
納税資金を確保するためにも、早めに売却準備を進めておきましょう。
売却の第一歩は価格査定から。
いくつかの不動産会社へ査定を依頼して、パートナーとなる会社を見つけましょう。
東京都内のアパートなら比較的売れやすい
アパートを売りたいと思うけど、実際に売れるの?という疑問を持たれるかもしれません。
普通の戸建て住宅やマンションと違って、アパートなどの収益物件は購入者が限定されます。
不動産投資家ですね。
したがってアパートの買い主を見つけるのは大変だというイメージがあることでしょう。
しかし東京にあるアパートなら、欲しいという投資家は多いはずです。
特に、
- 都心五区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)
- その他の都区内
にあるアパートは、不動産投資家が最も好む物件です。
建設産業・不動産業:国内不動産投資家アンケート調査 – 国土交通省
東京23区は他の地域と比較しても圧倒的に人口が多く、アパート経営で収益を得られる可能性が高いからですね。
直近の売買件数をみても堅調に推移していることがわかります。
相続したばかりでよくわからないかもしれませんが、そのアパートは大きな資産となることでしょう。
アパート1棟を売却する流れ|他の不動産とは違うポイントを押さえておこう
アパートを売るときの流れは、基本的に他の不動産売却と変わりません。
⬇
価格査定
⬇
不動産会社を決める
⬇
売り出し
⬇
購入希望者の内見
⬇
価格交渉
⬇
売買契約
⬇
引き渡し
ただ通常の不動産とは違う部分もありますから、ポイントを挙げて解説していきますね。
相場チェックでは利回りに注目しよう
まずはどのくらいの価格で売れるのか、という相場をチェックしておきましょう。
普通の居住用不動産(一戸建てや分譲マンション)の場合、周辺の取引事例などを参考にすれば大体の相場が分かります。
しかしアパートなどの収益不動産の場合、周辺の取引価格より利回りが重視されます。
利回りとは、そのアパートがどれくらいの収益を生み出すか(収益性)を示す数値。
収益不動産の取引では、利回りが最も重要なポイントになるのですね。
楽待という不動産投資ポータルサイトを例に見ていきましょう。
地域と物件種別を選んで検索してみると、物件のリストが出てきます。
物件ごとに価格&利回りが大きく掲載されていますね。
ここでの利回りは、以下のように計算されています。
[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 満室稼働時の賃料収入 ÷ 売却価格 = 利回り[/st-mybox]
このような利回りを、表面利回りといいます。
利回りを決定づける要素は、
- エリア
- 建物の築年数
- 貸室の稼働状況
といったポイントが中心です。
相続したアパートと似ている物件を探して、取引利回りの大まかな水準を決めましょう。
[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 満室稼働時の賃料収入 × 取引利回り = 売却価格[/st-mybox]
という計算で、アパートの売却相場を調べることができました。
収益物件を得意にしている不動産会社をパートナーにしよう
不動産の売却では、パートナーとなって仲介業務をする不動産会社の選び方が重要です。
まずは一括査定サイトで複数の不動産会社に査定額を出してもらい、その上でどの不動産会社と媒介契約を結ぶかを決めていきます。
そのとき注意してほしいのが、一番高い査定額を出した業者を無条件に選ぶこと。
不動産会社の中には、媒介契約を取りたいがために相場よりも高めの査定額を出すところも存在します。
査定額が高いと思って契約しても、実際に売れる価格とは限らないのですね。
アパート売却のパートナーとなる不動産会社を選ぶときは査定額だけでなく、収益不動産の仲介を得意にしている会社を選びましょう。
仲介会社の中でも、
- 一戸建てやマンションなどの居住用不動産が中心
- アパートなどの収益物件が中心
- 賃貸契約の仲介が中心
といった専門の違いがあります。
収益物件が得意な会社に仲介してもらうと、
- 買い手となる投資家とコンタクトが取りやすい
- 価格交渉などの提案をしてくれる
- 銀行の融資担当者と繋がりがある
といったメリットがあります。
収益物件が得意な会社を見極めるには、営業担当者に相場感・市況などを質問してみましょう。
スラスラと答えてくれるなら、かなり経験のある会社だと分かりますよ。
価格交渉で指値が入ることを前提に
不動産会社が決まったら、売り出しになります。
売り出しの価格設定については、ある程度の目安と考えておきましょう。
というのは、収益物件の売買では買い手が指値(値下げ交渉)してくるケースが多いから。
売り出し価格のまま売れるということは、ほとんどありません。
値下げ交渉されたからといって断っていると、いつまで経っても売れないという事態になることも。
ある程度の妥協点を見つけて、早期売却を目指しましょう。
ケース別にみるアパート売却の注意点
アパート売却で相談されることが多いケースについてまとめてみました。
収益が出ていないので売却したい
ほとんど収益が上がっていないアパートでも売れるの?
こんなご質問もありました。
収益の上がらないアパートだと、購入者には魅力がないと映るでしょうか?
意外とそういうことはないのです。
立地条件にもよりますが、更地にして建物を建て直ししたり、土地を分割したりすることで収益性が回復する場合が多いです。
したがって現状で収益性が低い物件でも、投資家はしっかりと狙ってきます。
ただ売値を下げるように交渉してくることも考えられますが、そこは仲介業者にまかせておくと良いでしょう。
ただ最低〜円という条件を伝えておいたほうが、業者さんも交渉しやすいと思います。
また収益が上がっていないアパートの場合、ローンが残っている可能性があります。
ローン残高は債務ですから、相続税申告のときにマイナスの資産として計上できます。
余計な相続税を支払わないように、あらかじめローン残債を確認しておきたいですね。
なおアパート経営では、収支がマイナスになるリスクも押さえておきましょう
遺産分割のために売却したい
それなりに収益は上がっているけど、相続人全員で遺産分割したいからアパートを売りたい。
こういうケースもよくあります。
不動産を売却した代金を分配することを換価分割といいます。
換価分割は相続トラブルを避ける意味でも、おすすめの方法です。
しかもアパートは
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
相続税評価額<実際の市場価格
[/st-mybox]
となるケースが多いですから、遺産の取り分が多くなるというメリットもありますね。
共有物の売却は事前相談が必須
相続登記では相続人の共有になっていて、その後売却するときは注意が必要です。
共有されている物の処分について、民法第251条には、以下のような規定がされています。
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
売却することも変更のひとつですから、共有になっているアパートの土地建物を売却するときは、共有者全員の同意を得なければなりません。
そのために、事前に以下のことを確認しておきましょう。
窓口担当者を決めておく
売買契約の打ち合わせ・交渉などで、共有者全員が常に同席するというのは無理があるでしょう。
実際の契約の窓口となる担当者を決めておいたほうが良いです。
身内で担当者になれるような人がいないなら、弁護士にお願いするというのも一つの手段ですね。
共有者全員の委任状をとる
契約行為でその都度共有者全員の同意を取るというのは現実的ではありませんから、窓口担当者に一任するという旨の委任状を作成しておきましょう。
きちんと全員の実印を押しておくことで、法的にも有効な書類となります。
売却額は最低どれくらい?
いくらでもいいから処分してくれというなら別ですが、普通ならなるべく高く売りたいというのが本音です。
できれば共有者全員で、最低どれくらいの売却価格にしたいか?ということを話し合ってください。
ただ売却相場がわからないと、いくら位という話もできないと思います。
不動産一括査定サービスを利用して、そのアパートの大体の相場を把握しておくことをオススメします。
共有について詳しくは「共有持分とは」の記事をご覧ください
アパートの売却で注意すべきケース
相続したアパートを売却する際は、自宅と違っていくつか注意すべきケースがあります。
入居者が残っているとき
そのアパートに入居者が住んでいる状態だとしても、売買契約自体に問題はありません。
いわゆるオーナーチェンジというのは、頻繁に行われているものです。
特に事前に同意を得るという必要もありません。
ただ入居者から敷金を預かっている場合は、その敷金が新しいオーナー(買主)にちゃんと引き継がれなければいけませんよね。
つまり売主と買主の間で敷金分の金額を精算する必要があるのです。
通常は売却価格から預かっている敷金分を控除して、売主が受け取るという方法を取ります。
売却後に賃貸人の地位承継通知書及び同意書という文書を取り交わして、入居者に通知しましょう。
亡くなる前にアパートを建てた
相続税の節税対策として、保有している土地にアパートを建てるという方法は一般的です。
土地の評価額を下げることで、相続が起こったときの税負担を軽くしようという狙い。
ただこれは税務当局からすると、租税回避と見なされることがあります。
具体的には相続開始(亡くなる)前3年以内にアパートを建設したケース。
このように直前でアパート用地(貸付事業用地)にした場合、小規模宅地等の特例が使えなくなります。
最大で土地の評価額を半額にする特例が使えなくなるわけですから、注意が必要ですね。
亡くなる直前に購入したアパート
一方亡くなる直前にアパートを購入していた場合も注意しましょう。
税務当局も不動産を利用した節税対策を常にチェックしていて、あからさまな対策は潰されることがあります。
特に購入したアパートを相続手続き後すぐに売却すると、租税回避行為と見なされるケースもあります。
こういったケースでは財産評価基本通達総則6項により、高額の相続税が請求されることも。
ある程度アパートを運営する覚悟を決めて、3~4年待ってから売却すれば問題になることはありません。
アパートを高く売るには一括査定サービスを活用しよう
一般の住宅やマンションは個人が居住用として購入しますが、アパートのような収益物件は投資家が購入するものです。
買い手の属性が違えば市場の動きもまったく違いますし、売買ノウハウも異なります。
アパートを売却するときに注意したいのが、不当に安く値付けされてしまうこと。
買い手が百戦錬磨の投資家であれば、必ず指し値で安く手に入れようとするからです。
そんな買い手と交渉するには、熟練した不動産会社を通した方が無難です。
なるべく収益物件を多く取り扱っている不動産会社に依頼したいですね。
ここでは複数の不動産会社に一括で査定依頼できるサービスをご紹介します。
この一括査定サービスを使えばどの不動産会社の査定額が高いか一目瞭然ですし、信頼できそうな不動産会社を選ぶ早道ともなりますよ。
対象エリア | 全国 |
---|---|
物件種別 | アパート・区分収益マンション・貸しビル・その他 |
提携会社数 | 1,600社以上 |
同時依頼数 | 6社 |
運営会社 | 株式会社Speee |
したがって普通の住宅だけなく、アパートや貸しビルなどの収益不動産にも対応できるのですね。
スマホからでもカンタンに査定依頼ができますよ。
対象エリア | 全国 |
---|---|
物件種別 | アパート マンション 土地 その他 |
提携会社数 | 1,700社 |
同時依頼数 | 6社 |
運営会社 | セカイエ株式会社 |
10年以上の歴史を誇り、利用者数は400万人を突破しました。
流れの速いインターネットサービスのなかで、これだけ長い間支持されてきたという実績が強みですね。
もちろん提携している不動産会社も、住友林業などの大手から地元密着の中小まで様々です。
そんな多種多様な提携会社の中から、その地域のアパート売却に強みを持った不動産会社をすぐに見つけられますよ。
相続したアパートを高く売るタイミングとは
アパートを売却するとき、なるべく高く売れるタイミングってあるのでしょうか?
いくつかのケースを見ていきましょう。
建物の減価償却が終わっていると、アパート経営のメリットが薄い
アパート経営で得た不動産所得を計算するときに、必要経費として減価償却費を差し引くことができます。
アパートのうち建物は償却資産なので、耐用年数に基づいて毎年の減価償却費が発生します。
この減価償却費が発生している間は、アパート収入に対する節税効果が高いといってよいでしょう。
しかし相続したアパートは、亡くなった人がアパートを取得したときの
- 取得時期
- 取得価額
- 耐用年数
を相続人が引き継ぎます。
したがって相続で築年の古いアパートを取得した場合、すでに未償却分がゼロ(これ以上減価償却できない)というケースも多いのですね。
減価償却できなければアパート経営のメリットが薄れてしまいますから、売却してしまったほうが良いでしょう。
満室状態だと強気の価格設定ができる
アパートの買い手である不動産投資家が一番重視するのが、収益性です。
収益性を表す指標として利回り(収益/物件価格)がありますね。
もし空室が多くて収益の少ないアパートだと、利回りが低くなるので不動産投資家は避ける傾向にあります。
もしあなたが相続したアパートが満室状態で稼働しているのなら、収益は高い状態にあるでしょう。
したがって売り出す物件価格を多少高めにしても、利回りはある程度高い数値になります。
満室状態にあるアパートは、最高の売り時といって良いでしょう。
できれば相続してから3年以内に売却するほうが良い
相続したアパートを売るつもりなら、なるべく早めに売り出す準備をしましょう。
相続税の申告をしてから3年以内に売却すれば、譲渡税の軽減措置が使えます。
納付した相続税額のうち一部が、譲渡所得を計算するときの取得費として計上できるのです。
詳細は別記事にて触れていますが、相続した不動産の売却は早めに!ということは覚えておいてください。
コメント