あなたのお父さんが亡くなりますと、遺族に相続が発生します。
ごく単純な相続ならいいのですが、家族のありようも多種多様ですので、中には複雑な相続もあります。
お父さんに別の家庭があり、腹違いの子供(異母きょうだい)がいる場合の相続について解説していきましょう。
あなたのお父さんが亡くなった場合に相続人となるのは、死亡時の妻を除きますと、あなたの兄弟といったところでしょう。
ですが、あなたに異母きょうだいがいる場合、どこまでが相続人となるのでしょうか。
相続権のある子とは
お父さんに別の家庭の子供がいるというケースにも、次の通りいろいろな種類があります。
- 故人の先妻に、血のつながった子がいる
- 故人が離婚後再婚した、新しい家庭に子がいる
- 故人が、血のつながりのない人と養子縁組をして養親になっている
- 故人の愛人に、血のつながった子がいる
- 故人も知らない子供がいた
最後の5は、昔交際していた女性が、別れた後でひっそり子供を産んで育てていたというようなケースです。
生物学上は間違いなく故人の子だったとしても、認知されていない子であれば、相続の上では完全な他人です。
その人が認知請求をしてくれば話は別ですが、そうでないなら法律的にはあなたの兄弟ではありません。
ですから、相続人になるのは1~3と、4のうち故人が認知していた場合です。
養子は実子と同じ扱いです。
亡くなったお父さんからしますと、これらの子供はすべて「子」です。相続人のひとりであるあなたと、平等の立場にあります。
相続において、優遇される子はいませんし、差別される子もいません。結婚関係で生まれた子であろうが、そうでなかろうが、一緒です。
もっとも4のような非嫡出子と呼ばれる存在は、かつては相続において2分の1の権利しかない存在でした。
ですが平成25年に違憲判決が出て、この差別取扱いは撤廃されています。
(参考:遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件)
遺言によって遺産を多めにもらう子がいるとしても、それはまた別の話です。
むしろ、子の全員が法律上平等だからこそ、遺言に意味があるわけです。
逆に言いますと、あなた自身が1~4の立場にあったとしても、他の子との間で差別されることは一切ありません。
配偶者については、離婚した元妻には相続権はありません。死亡当時の妻だけに権利があります。
子供が、この妻の子であるかどうかは、相続権とはまったく関係がありません。
お父さんの連れ子は相続人?
なお、亡くなったお父さんが、現在の妻と結婚する際、妻に「連れ子」がいたとします。
この子には相続権があるでしょうか?
この子が、お父さんと養子縁組をしていれば、養子として相続権があります。
ですが、養子縁組していない場合、同じ家庭で暮らして「お父さん」と呼ぶ関係であったとしても、相続権はありません。法律上は「妻の子」に過ぎないからです。
連れ子に相続権を与える方法については、別の記事で詳しく解説しています。
>>再婚相手の連れ子に相続させるには養子縁組じゃなきゃダメ?
遺産分割協議のメンバーは?
さて、相続権のある子について整理してみました。遺族が妻と子だけという場合、妻が遺産の2分の1を、あとの2分の1を、子が平等で分けることになります。
もっとも、これはあくまでも法定相続割合の話です。
遺産とは、簡単に等分できるものではありません。
ですから、遺族の間で遺産分割協議書を作成して、争いを回避することが多いです。
遺産分割協議に参加するのは、遺族全員です。
この際、残された子の誰かに教えないというのはいけません。法律上の権利を無視して、人の財産の勝手な処分になってしまいます。
お父さんの死を知らない子供にとっては、時効も成立しませんので、いつまでもトラブルの原因となります。
法律を勝手に解釈して、「あいつには相続権はない」などと判断しないようにしましょう。
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