[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
「相続した実家を解体したいけど、費用はどれくらい?」
「なるべく工事費を抑えるコツってあるの?」
「住宅ローンを使うことはできる?」
[/st-mybox]
こんな疑問にお答えすべく、木造住宅の解体費用についてまとめてみました。
木造二階建ての解体費用はどれくらい?
一般的な木造二階建て住宅(延べ30坪)をモデルにして、解体費用がどれくらいになるかを考えてみましょう。
別記事で解説しているとおり、木造の解体費用は坪単価25,000~35,000円程度が相場です。
したがって延べ30坪で計算すると、総額75万円~105万円程度ということになりますね。
普通の木造二階建て住宅を取り壊すには、100万円前後の費用がかかると覚えておきましょう。
より詳しく費用を出すためのシミュレーションツールも用意してありますので、使ってみてください。
見積もりシミュレーション
建物の種類
延べ床面積
階数
地域
建物の立地条件によって費用は上下する
最初に大まかな解体費用の目安を示しましたが、実際に工事をする場合かなりバラつきが出てきます。
解体工事は建物の立地条件で、大きく価格が上下するのです。
なぜかというと、立地条件によって解体工事の方法が異なるからです。
一般に解体工事には、
- ほぼすべてを重機で解体する(ミンチ解体)
- 重機と人力による手壊しの併用
- ほぼすべて手壊し
の3種類の方法があります。
ミンチ解体だと効率よく工事が進みますし、人件費もかかりません。
一方で手壊しは人海戦術となるので、時間も人件費もかかります。
ほぼすべてを機械で解体(いわゆるミンチ解体)すると0.043人日/m2,機械解体と手壊し解体併用で0.079~0.109人日/m2,手壊しでは0.18~0.182人日/m2の人工を要していることが読みとれる。これらの平米あたり人工数は,120平米の住宅に換算すると,およそ5.2人日,9.5~13.1人日,21.6~21.9人日にあたる。解体方法により,最大約4倍にもおよぶ差異がある。
上記の通り解体工事の方法によっては、費用が4倍になることもあるのですね。
例えば都市部の住宅密集地では、大型の重機が使えずに手壊し作業が多くなり、人件費が高くなります。
また隣地との距離が近いと、しっかりとした防塵フェンスで囲った上で内部から取り壊し作業をするため、時間もかかりますね。
建物の前面道路が狭いところでは大型のトラックが入れず、小型トラック複数台で廃材を運搬しなければいけません。
そのぶん配送費用や廃材処分費が高くなってしまうというわけです。
以上のように、条件によって解体費用の相場が変わるということに注意してください。
上屋以外の構造物もあることに注意
解体工事をする際は上屋だけでなく、ブロック塀などの構造物も取り壊すことに注意しましょう。
一般的なブロック塀の解体費用は、㎡あたり5,000~8,000円程度。
[st-mybox title=”ブロック塀の取り壊しについて” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=””]
またブロック塀の取り壊しの際は、安全管理がキチンとされているか注意してください。
ブロック塀は道路と面しているので、万が一倒壊すると歩行者が下敷きになるなど深刻な事故につながる危険があります。
(1) ブロック塀解体工事において、はつり作業を行う場合は、控えの設置等により倒壊防止措置を講じること。 (2) 解体する範囲をできるだけ短くすること。 (3) 作業手順および作業方法を定めて、これに基づいて作業を行うこと。作業方法については、塀が倒壊する危険範囲内に作業者が立ち入らない作業方法(解体機械等の使用等)を検討すること。 (4) 保護帽を着用すること。
[/st-mybox]
その他にも、
- 門扉の撤去・処分
- 樹木の伐採・抜根
- 庭石の撤去・処分
- カーポート撤去・処分
- 土間コンクリート撤去・処分
といった費用が発生することに注意してくださいね。
[st-mybox title=”地下室があるときは注意” fontawesome=”fa-exclamation-circle” color=”#ef5350″ bordercolor=”#ef9a9a” bgcolor=”#ffebee” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
木造二階建て住宅であっても、地下室があるときは解体費用が跳ね上がります。
地下室を解体するには周りの土を掘って(根切り)、ハンドブレーカーなどでコンクリートを壊して地上に運び出す、という手間がかかるからですね。
地下室の解体だけで、プラス100~150万円は上乗せされると考えておきましょう。
[/st-mybox]
家の解体費用を安く抑える3つのポイント
取り壊し工事をするのに、意外に費用がかかることに驚かれたかもしれません。
そこで適正に費用を抑えるためのポイントをまとめてみました。
ハウスメーカーや工務店に任せるのは割高になる
古家を解体して新しい家を建てようとするとき、解体工事はハウスメーカーや工務店に依頼する人が多いようです。
たしかに一括発注したほうが手間は省けますよね。
しかし費用面で考えると、ハウスメーカーなどに発注するのは割高になってしまいます。
大きな会社は自社で解体工事をするのではなく、下請けの解体業者にお願いするのが通常。
下請けに出すことで中間マージンが発生するので、どうしても割高になってしまいます。
少しでも費用を抑えるためには、解体業者へ直接発注するのがオススメです。
そんなときは、インターネット上で見積もりを依頼できるサイトを利用してみましょう。
無料で地元の解体業者に直接見積もりを依頼できます。
一括見積りサイト【解体工事のナコウド】なら、希望に合わせて最大4社の優良業者を紹介してくれます。
家財道具やゴミは処分しておこう
解体業者は工事で出た廃材は処分してくれますが、収納家具や一般ごみは処分してくれません。
廃材と分別方法や処理場が異なるので、取り扱いできないのですね。
したがって解体工事をする前に、あらかじめ家具などを処分しておく必要があります。
粗大ごみの処分方法は市区町村によって異なりますから、あらかじめ役所の窓口に問い合わせておきましょう。
また貴金属や衣類などは専門業者に依頼すれば、買い取ってくれる可能性もあります。
「自分で処分する時間がない!」ということであれば、片付け専門の業者へ依頼しましょう。
家の広さや荷物の量によって費用は上下しますが、複数の業者へ相見積もりを取ればリーズナブルに依頼できますよ。
住宅ローンを使って取り壊し費用を捻出できる?
古家を解体して家を新築するケースでは、住宅ローンを使って解体費用を捻出したいという要望を聞くこともあります。
一般的に住宅ローンは土地の購入費用や建物の新築費用に充てるものなので、解体工事は対象外となることがほとんどです。
ただ地方銀行や信用金庫などで、別に空き家解体のためのローンを設けているところもあります。
首都圏では以下のような金融機関が、解体ローンを取り扱っていますね。
もし手持ちのお金がないというときは、このようなローンを利用してみるのも良いでしょう。
[st-mybox title=”金利に注意” fontawesome=”fa-exclamation-circle” color=”#ef5350″ bordercolor=”#ef9a9a” bgcolor=”#ffebee” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
ただしこのような解体ローンを利用するとき、金利の高さには注意しておきましょう。
一般的な住宅ローンが年利0.5%程度であるのに対し、解体ローンは年利2.5%程度です。
[/st-mybox]
土地を売るときに解体するべき?
相続した実家を売却しようとするとき、
古い家を解体して更地で売るべきか
そのまま古家付き土地として売るべきか
迷うかもしれません。
不動産鑑定士としての意見は「どちらでも構わない」です。
以下で詳しく解説していきましょう。
解体しなくても売ることができる
古家が付いていても、売却にあたっては何の問題もありません。
購入者が取り壊して更地にすれば良いわけです。
ただ更地で売却するよりも、売買価格が下がります。
更地の価格から取り壊し費用分をマイナスした形で価格が決まるからですね。
[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 更地価格 - 取り壊し費用 = 売買価格[/st-mybox]
ただ更地化して売るときも解体費用が発生するので、結果的にはそれほど差はないでしょう。
更地にすると固定資産税が上がる!
更地化してから売るときは、売却時期に注意してください。
住宅が建っている土地には固定資産税が減額されているのですが、更地化するとその減免措置が外れて満額の税負担となるからです。
[st-mybox title=”特例が空き家増加の原因に?”]いわゆる固定資産税の住宅用地特例と呼ばれるものです。
この特例により住むための家の維持費が抑えられます。
しかし一方で住んでいないのに建物を残して特例を受けようとする人が増え、空き家が増える一因となっていることが指摘されていますね。
全国各地で空き家問題が深刻化しているが、空き家が増加している主な原因として、「固定資産税の住宅用地特例」の存在が指摘されている。 この特例により、現に人が居住している住宅だけでなく空き家であっても、住宅が建っていれば土地の固定資産税が最大六分の一に減免される。逆に、空き家を取り壊した場合には固定資産税が跳ね上がることから、更地にして再利用しようとする地主のインセンティブを阻害する状況となっている。
[/st-mybox]
固定資産税の評価は毎年1月1日時点の状況で決定されています。
もし売却時期が延びて年を越してしまうと、更地として満額課税されてしまうリスクがありますね。
固定資産税の課税については、別の記事で詳しく説明しています。
[st-card id=424]
売却前に取り壊した場合は、譲渡費用に組み入れて節税しよう
もし更地化して売却したときは、解体工事の見積もり書などを保存しておきましょう。
節税できる可能性が高いからです。
不動産を売却すると、その譲渡所得に対して譲渡税が課税されます。
ただしその不動産を購入したときの費用(取得費)や、売却にかかった手数料など(譲渡費用)は収入からマイナスすることができます。
譲渡収入ー(取得費+譲渡費用)=譲渡所得 譲渡所得×税率=譲渡税
余計な税金を払わないために、証拠となる書類はきちんと保存しておきたいですね。
見積もり書の例
一般的な個人住宅(30坪)
名称 | 仕様 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|---|
1.仮設工事 | |||||
外部足場 | くさび式 ブラケットー側 残置1ヶ月 材工共 | 150 | 架㎡ | 940 | 141,000 |
シート養生 | シート養生 防炎一類 残置1カ月 材工共 | 150 | 架㎡ | 490 | 73,500 |
小計 | 214,500 | ||||
2.解体工事 | |||||
上屋解体 | 一戸建て住宅 人力・機械併用 | 100 | ㎡ | 4,500 | 450,000 |
基礎コンクリート解体 | 住宅 大型ブレーカー・圧搾機併用 | 8 | ㎥ | 12,100 | 96,800 |
土間解体 | 土間コンクリート解体 大型ブレーカー・ハンドブレーカー併用 | 3 | ㎥ | 8,550 | 25,650 |
小計 | 572,450 | ||||
3.廃材処分 | |||||
木くず処分 | 運搬費別 | 16 | ㎥ | 4,500 | 72,000 |
コンクリートガラ処分 | 運搬費別 | 11 | ㎥ | 5,000 | 55,000 |
混廃処分 | 運搬費別 | 5 | ㎥ | 11,000 | 55,000 |
運搬費 | 4tダンプ 手運び含む | 7 | 台 | 12,000 | 84,000 |
小計 | 266,000 | ||||
合計 | 1,052,950 | ||||
㎡単価 | 10,500 | ||||
坪単価 | 34,700 |
敷地や道路が狭いケース
名称 | 仕様 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|---|
1.仮設工事 | |||||
外部足場 | くさび式 ブラケットー側 残置1ヶ月 材工共 | 150 | 架㎡ | 940 | 141,000 |
シート養生 | シート養生 防炎一類 残置1カ月 材工共 | 150 | 架㎡ | 490 | 73,500 |
小計 | 214,500 | ||||
2.解体工事 | |||||
上屋解体 | 一戸建て住宅 手壊し | 100 | ㎡ | 6,600 | 660,000 |
基礎コンクリート解体 | 住宅 ハンドブレーカー主体 | 8 | ㎥ | 28,500 | 228,000 |
土間解体 | 土間コンクリート解体 ハンドブレーカー主体 | 3 | ㎥ | 18,000 | 54,000 |
小計 | 942,000 | ||||
3.廃材処分 | |||||
木くず処分 | 運搬費別 | 16 | ㎥ | 4,500 | 72,000 |
コンクリートガラ処分 | 運搬費別 | 11 | ㎥ | 5,000 | 55,000 |
混廃処分 | 運搬費別 | 5 | ㎥ | 11,000 | 55,000 |
運搬費 | 3tダンプ 手運び含む | 9 | 台 | 10,000 | 90,000 |
小計 | 272,000 | ||||
合計 | 1,428,500 | ||||
㎡単価 | 14,300 | ||||
坪単価 | 47,300 |
規模が大きい店舗兼用住宅など(100坪)
名称 | 仕様 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|---|
1.仮設工事 | |||||
外部足場 | くさび式 ブラケットー側 残置1ヶ月 材工共 | 280 | 架㎡ | 940 | 263,200 |
シート養生 | シート養生 防炎一類 残置1カ月 材工共 | 280 | 架㎡ | 490 | 137,200 |
小計 | 400,400 | ||||
2.解体工事 | |||||
上屋解体 | 店舗兼用住宅 人力・機械併用 | 330 | ㎡ | 4,050 | 1,336,500 |
基礎コンクリート解体 | 店舗兼用住宅 大型ブレーカー・圧搾機併用 | 60 | ㎥ | 12,100 | 726,000 |
土間解体 | 土間コンクリート解体 大型ブレーカー・ハンドブレーカー併用 | 5 | ㎥ | 8,550 | 42,750 |
小計 | 2,105,250 | ||||
3.廃材処分 | |||||
木くず処分 | 運搬費別 | 26 | ㎥ | 4,500 | 117,000 |
コンクリートガラ処分 | 運搬費別 | 65 | ㎥ | 5,000 | 325,000 |
混廃処分 | 運搬費別 | 25 | ㎥ | 11,000 | 275,000 |
運搬費 | 10tダンプ | 12 | 台 | 15,000 | 180,000 |
小計 | 897,000 | ||||
合計 | 3,402,650 | ||||
㎡単価 | 10,300 | ||||
坪単価 | 34,000 |
廃材処分費と運搬費について|地方では安くなる
解体工事の見積もり額で大きいウエイトを占めるのが、解体したあとの廃材を運搬・処分する費用です。
2階建て30坪の木造住宅を解体する場合、4トントラック5台から10台分もの廃棄物が出てしまいます。
引用元:中学生佳作論文「この家、空いてます」(高山 泰子):参議院70周年記念論文表彰式(平成29年7月30日):参議院
東京など大都市だと産廃処分場がなかなか確保できず、かなり遠い場所に立地しています。
処分場までトラックで廃材を運搬する費用が高くなってしまいますね。
一方で人口の少ない地方の場合、比較的近くに処分場があることも多いです。
産廃業者の人件費も安いですね。
したがって解体工事の費用を比較すると、
[st-mybox ]地方<都会[/st-mybox]
となることが多いのです。
[st-mybox title=”廃材の不法投棄で罰せられることもある” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=””]
建物の解体工事で発生した廃棄物は、廃棄物処理法に基づいて適切に処分しなければいけません。
第二条の四 国民は、廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。
引用元:廃棄物の処理及び清掃に関する法律
不法投棄をしてしまうと、事業者や施主が刑事罰を受けることもあるのですよ。
[/st-mybox]
コメント