借地権の更新料の相場について|そもそも支払う義務ってあるの?

借地権更新料の相場とは? 不動産の種類別にみる相続のポイント

親の代から借地に住んでいて、そのまま相続したという人も多いですね。
ある日突然「借地契約を更新するから更新料を払ってください」という通知が来て、驚いた経験があるかもしれません。

  • 借地権の更新料は、どれくらいの額が相場なのか?
  • そもそも払う必要があるのか?

今回はこのあたりを解説していきましょう。
借地権更新料の相場とは?

借地権の更新料は更地価格の3~5%が相場

更新料の相場はどれくらい?という質問は、答えるのに難しい質問でもあります。

地主に払う承諾料の中でも、更新料の取り扱いは非常にデリケートです。

建替承諾料や譲渡承諾料の場合は裁判所の査定基準があることから、全国的に相場が決まっています。

しかし更新料は授受の慣習がある地域が限られている上、法的な根拠もあいまいです。

したがって更新料の相場はない、という結論になってしまいますね。

ただそれでは不親切だと思いますから、いくつかの例を挙げてみましょう。

  • 更地価格の5%
  • 更地価格の3%
  • 借地権価格の5%

というあたりが代表的な更新料の決め方です。

  • 更地価格:8,000万円
  • 借地権割合:60%

とすると、

  • 8,000万円×5%=400万円
  • 8,000万円×3%=240万円
  • 8,000万円×0.6×5%=240万円

という額が、それぞれ計算されました。

これらの数字を参考にして、地主と借地人が更新料の額について相談することになります。

東京都内で更新料の相場はどれくらい?

では実際に借地契約の更新料の相場はどれくらいなのか?
なかなか情報が出てくることはないのですが、東京23区での調査をもとにまとめてみました。

区名 更地価格に対する割合
文京区 2.0~3.0%
江東区 1.2~6.8%
品川区 4.3~7.3%
大田区 1.0~5.3%
世田谷区 2.0~5.9%

個々の契約や地域によってバラつきがありますが、おおむね更地価格の2~5%という水準が多いようです。

更新料って支払う義務があるの?

そもそも更新料は法的な義務はありません。

したがって更新料の支払いを拒否しても構わないという意見も出ることでしょう。

この問題については裁判所の判例も分かれているのですが、以下のに2パターンに分けて見ていきましょう。

更新料の支払いについて特約がある

借地契約において、次回の契約更新時に更新料を支払う旨の特約が付いていたとします。

この場合は支払い義務について両者で合意がなされていますから、原則として更新料は支払わなければなりません

ただ借地契約の更新には、合意更新と法定更新の2つがあります。

  • 合意更新:地主と借地人が合意の上更新する
  • 法定更新:土地上に建物がある状態で、借地人が契約更新を請求する

合意更新の場合は、更新料の特約についても合意がなされたということで支払い義務が発生します。

ただ合意更新ではなく、借地人が法定更新を選択した場合。

このときは、更新料の支払い特約について合意したとは認められず、よって支払い義務もないという判例が出ていました(東京地裁平成23年7月25日判決 平成22年(ワ)第27854号 建物収去土地明渡請求事件)

したがって更新の種類によって、更新料の支払い義務の有無が変わってくると言えそうです。

特約なし

更新料の支払い特約が無い場合においては、支払い義務はありません

ただ過去に複数回の更新料支払いの履歴があった場合に、法定更新であっても更新料の支払い義務があるとする判例もあります。

例えば亡くなった父親が過去に地主に更新料を支払っていた経緯があり、相続で借地権を取得した後に更新料の支払いを拒絶した場合は、支払い義務があると判断される可能性もあるでしょう。

支払い義務が無くても、更新料を払う意味とは?

これまでご説明してきたとおり、更新料は特に法的な義務ではないのですが、慣習として残っているものです。

なぜ法的な義務がないのに、地主に更新料を支払い続けるのでしょうか?

大きな要因としては、地主と借地人との人間関係を良好に保つという意味があります。

借地の建物を建て替えるにしても、借地権を誰かに売却するにしても、地主の承諾を得る必要があります。

このときスムーズに承諾を得るためには、承諾料を支払うことは無論ですが、地主との信頼関係を築けているか?ということが重要です。

もし地主が不信感を抱いているのなら、承諾を得るまでには膨大な時間裁判費用がかかることでしょう。

それまで建て替えも売却もできないといことになってしまいます。

そのような事態を防ぐためには、適正な額の更新料を支払っておくという配慮も必要かもしれません。

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