不動産の種類別にみる相続のポイント

相続で得た借地権を売却したい|売却価格&承諾料の相場は?

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実家が建っている借地を相続することになってしまった!どうすればいいの?

最近こういったご相談が増えています。

相続した借地権って売れるの?

意外に思われるかもしれませんが、土地の所有権だけでなく借地権も相続財産となります。

もし相続した借地権を売りたいと思ったら、どうしたら良いのでしょうか?

借地権は売却できるが、一定の制限がある

借地権者はその土地の所有者ではありませんが、その土地を使用収益する権利を持っています。

借地権の図解

その権利は法律用語で賃借権といわれ、債権の一種。

一般的に債権は民法第466条に規定されているとおり、他者に譲渡(売却)することができます。

ただし賃借権はその性質上、一定の制限があります。

第三者に売却するケースと、地主に買い取ってもらうケースで見ていきましょう。

第三者へ売却する場合

第三者に借地権を売却するとき、地主の許可なく勝手に契約してはいけません。

民法第612条に規定されているように、賃貸人(地主)の承諾を得る必要があります

とはいえタダで地主が売却をOKすることは、まずありません。

地主へ譲渡承諾料と呼ばれるお金を支払うことで、OKしてもらうのが普通です。

譲渡承諾料の相場は地域差がありますが、判例を参考におおむね借地権価格の1割程度とすることが多いですね。

例えば

  • 更地の市場価格:1億円
  • 借地権割合:60%

とすると譲渡承諾料は、

1億円×60%×0.1=600万円

となります。

面積が広かったり地価が高い地域の借地権を売却するときは、譲渡承諾料がかなり高額になることを覚悟しておきましょう。

地主に買い取ってもらう

第三者に売却するのは地主の承諾を得るコストがかかるので、ほとんどのケースでは地主に買い取ってもらうことが多いです。

地主としても借地権を買い取れば土地が完全所有権となり、自由に使用収益できるというメリットがありますからね。

地主との人間関係が良好に構築されていれば、交渉もスムーズにまとまることでしょう。

ただ実際の売買契約などの手続きは難しいこともあるので、仲介業者を間に挟むほうが無難です。

地主が承諾しなかったらどうする?

もし第三者へ借地権を売却することになったものの、地主が承諾しなかった場合はどうすればいいでしょう?

その場合は家庭裁判所で、借地非訟手続きを行います。

裁判所|借地非訟事件について

この審理を経て裁判所が妥当と認めれば、地主に代わって裁判所の許可をもらうことができます。

ただこの借地非訟手続きは、それなりに時間がかかります。

せっかく借地権の買い主が現れても、審理途中で手を引いてしまうリスクもありますね。

できれば地主が納得する条件を提示して、スムーズに解決するほうが良いでしょう。

借地権の売却価格ってどのくらい?

実際のところ、借地権っていくら位で売れるの?

借地権の売却価格の相場を知ることは難しいですが、ある程度の目安はあります。

それは借地権の財産評価額。

前半でも軽く触れましたが、借地権の評価額を計算するときは以下の通りです。

計算式

評価額=更地価格×借地権割合

この借地権割合は、相続税路線価に記載されています。

例えば前面道路が250Cとなっていたら、

  • 路線価:250,000円/㎡(市場価格の8割程度とする)
  • 借地権割合:70%

ということ。

土地の面積が300㎡であれば借地権価格は、

計算式

250,000円/㎡/0.8×300㎡×0.7=65,625,000円

となります。

借地権割合を実際に調べる方法は、以下の記事で。

借地権割合は地域差が大きい
【借地権割合とは】路線価図での調べ方&相続税の評価額を計算してみる

「借地を相続することになったけど、借地権割合って何?」 土地を借りるときに意識することはないですが、その借地を相続したり売却するときに借地権割合という数値が出てきます。 通常は国税庁が決めた借地権割合 ...

では実際にこの借地権を売却したら、本当に約6,500万円で売れるのか?

残念ながらこの借地権価格より低くなることがほとんどです。

実際の取引価格<借地権価格

やはり借地権はある程度制限のある権利で、地主との関係によってはトラブルになるリスクもあります。

購入者としてはそのようなリスクを見込んで値付けをするので、どうしても安くなってしまうのですね。

私たち不動産鑑定士が借地権価格の鑑定評価をする場合でも、単純に借地権割合で評価することはありません。

  • 周辺地域の取引事例
  • 標準的な地代と現行地代の差額

などを考慮した手法を使って評価します。

大抵の場合は鑑定評価額も、借地権割合よりも低くなりますね。

ただし借地権を地主に売却するときは、借地権割合で価格設定することが多いです。

実際の取引価格=借地権価格

地主が買い取る意志があるのなら、第三者に売却するよりも高く売れるという可能性が高いわけですね。

第三者に借地権を売却するのは難しい

これまで見てきたとおり、借地権を第三者に売るには高いハードルがあります。

したがって一般的には、地主に買い取ってもらうことが多いです。

しかし地主に買う意志がないときは、どうすればいいでしょう?

いくつか事例をあげてみました。

収益物件として活用する

もし売却しないで保有しておくなら、収益物件(アパートなど)の用地として活用するという選択肢が考えられます。

もちろん賃貸需要がある地域という条件はつきますが、一定の賃料収入があるというメリットも。

ただし今ある建物を建て替えたり、借地契約の内容を見直すときにも地主の承諾が必要です。

  • 建替承諾料
  • 条件変更承諾料

といった支払いが発生する可能性があります。

等価交換する

地主が買い取りに応じなくても、等価交換なら応じてくれるケースもあります。

等価交換とは、借地権と地主の所有権(底地)を交換することで、借地権者・地主がそれぞれ完全所有権の土地を得るというもの。

等価交換の図解

土地の面積は狭くなりますが、各人が自由に使用収益できる土地を持てるというメリットがあります。

完全所有権になれば第三者への売却も、ずっとカンタンになるでしょう。

底借同時売却

地主が買い取る意志がなくても、土地を手放しても良いと考えている。

もしこういう状況なら、借地権と底地を同時に第三者へ売却するという手段が考えられます。

これを底借同時売却と呼びます。

底借同時売却のメリットとしては、完全所有権の土地(および建物)を売却することになるので、買い手が付きやすいということ。

売却価格も市場の相場どおりに売れる可能性が高くなります。

底借同時売却では借地権者と地主のコミュニケーションを密に取らなければいけませんが、上手くいけばメリットの多い方法だと言えますね。

相続するときに地主の承諾を得る必要はない

ちなみに相続も借地権が他者へ移りますから、相続時に地主の承諾を得なくても良いの?という疑問がわきますよね。

結論から言えば、相続のときには地主に譲渡についての承諾を得る必要はありません。

相続はもとの借地権者が亡くなった時点で、自動的に相続人へ権利移動がなされます。

相続と譲渡は別のものなのですね。

したがって相続人は特に承諾料を支払う必要もありません。

ただ相続ではなく、遺贈だった場合はどうでしょう?

例えば内縁の妻に借地権を遺贈したケースなど。

このようなケースでは譲渡に当たるので、地主に承諾を得る必要があります。

もし地主が承諾に応じなかった場合は、家庭裁判所への申立となることも。

家庭裁判所で申立が却下されたら、遺贈できないという点に注意しておきましょう。

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