相続不動産を売却するときは3年以内に‼️取得費の特例を使おう

取得費の特例の計算例 不動産売却にかかる税金・費用

相続した実家の土地を売りたいと思っているけど、なかなか踏み切れなくて……

こういうご相談を受けたときは、すぐに売りましょう!とお伝えしています。

なぜなら相続税を払った分を、譲渡税の計算における取得費にプラスする特例が使えるから。

今回は取得費とは何か?というところから、ていねいに解説してみます。

取得費とは?

譲渡税の計算式については、別の記事ですでに解説していましたね。

譲渡税の計算は以下の通りです。

譲渡収入ー(取得費+譲渡費用)=譲渡所得

譲渡所得×税率=譲渡税

引用元:相続した不動産を売ったら譲渡税がかかる|特例を使って節税しよう

取得費は譲渡収入からマイナスできる費用の一種です。

この取得費が多ければ、それだけ譲渡税の額は少なくなります。

したがって節税対策のためにも、取得費についてキチンと押さえておきましょう。

取得費は、売却した不動産を購入・取得したときに発生した費用のことです。

  • 土地建物の購入代金
  • 購入時に不動産業者へ支払った仲介手数料
  • 購入時に発生した立ち退き料
  • 宅地造成費用
  • 訴訟費用
  • 建物取り壊し費用
  • 売買契約時の印紙代・登記費用

以上のような費用が取得費に当たります。

しかし相続した不動産の場合、取得費が明確に分かるというケースは少ないです。

何十年も前に自分の父親が購入したときの契約書など、どこにあるか分からないですからね。

そんな取得費が分からないときはどうすれば良いのでしょうか?

取得費が分からないときの方法は2つ

売買契約書も領収書も残っていない。

というときは取得費を証明するものがないですから、ある程度の見込みで取得費を計上します。

見込み取得費の算出方法として、以下の2通りが可能です。

  1. 概算取得費で計算する
  2. 取得費を証明する他の手段を使う

順番に見ていきましょう。

概算取得費で計算する方法

まず簡単な方法として、相続不動産の売却価格をもとに概算取得費を計算する方法が挙げられます。

計算式は以下の通り。

[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 売却価格×5%=取得費[/st-mybox]

売却価格はもちろん分かりますから、シンプルに計算できますね。

ただしこの概算取得費の欠点としては、取得費がとても安くなってしまいます。

例えば売却価格が1億円だとしても、概算取得費はたったの500万円。

いくら土地価格が上昇傾向にあるとはいえ、1億円で売れる不動産を500万円で買ったというのは非現実的ですね。

取得費が低くなれば譲渡税額が増えてしまいますから、節税面でもデメリットが大きいのです。

この概算取得費の算出方法は、先祖代々受け継いできた土地を売却するときなどに効力を発揮するでしょう。

取得費を証明する他の手段を使う

もし売買契約書が残っていなくても、購入当時の取得費を証明する手段はいくつかあります。

  • 住宅ローンの銀行稟議書・登記情報の抵当権設定金額など
  • 住宅取得控除を行った年の確定申告書の写し
  • 仲介業者が残している売買についての資料
  • 購入当時の故人の日記
  • 当時の地価公示価格により算出した土地価格

ただこのような証明方法で税務署が認めてくれるかという点については、ケースバイケースです。

もし認めてくれなかった場合、修正申告をしなければなりません。

加算税延滞税の上乗せという罰則も受けてしまいます。

もしこのような取得費の証明手段を使うのなら、事前に税理士へ相談しておく方が無難でしょう。

相続してから3年以内であれば、相続財産に対する取得費の特例が使える

もし相続した不動産を売りたいのなら、なるべく早くしたほうが良いでしょう。

なぜなら相続税申告期限から3年以内であれば、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例が使えるから。

この特例を使えば相続時に納めた税額のうち一部を、譲渡税計算の取得費にプラスすることができるのです。

例を挙げてみましょう。

取得費の特例の計算例

  • 土地の売却価格:8,000万円
  • 土地の取得時期:昭和45年
  • 当時の取得金額:1,000万円
  • 譲渡費用:200万円
  • 土地の相続税評価額:7,000万円
  • その他現金:1,000万円
  • 子の課税価格:8,000万円
  • 子の相続税額:1,500万円

 

 

[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]

譲渡収入=8,000万円

取得費
実際の取得費=1,000万円

特例による相続税加算額
1,500万円×7,000万円/8,000万円=1,312万円

1,000万円+1,312万円=2,312万円

譲渡費用=200万円

長期譲渡所得
8,000万円-(2,312万円+200万円)=5,488万円

譲渡税額
5,488万円×20.315%=11,148,800円

[/st-mybox]

 

もし特例を使わなかったら……

 

[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]

長期譲渡所得
8,000万円-(1,000万円+200万円)=6,800万円

譲渡税額
6,800万円×20.315%=13,814,200円

[/st-mybox]

 

13,814,200円>11,148,800円となり、およそ266万円もの差になるのです。

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