相続についての素朴な疑問

【寄与分】親の介護をしていたから相続で遺産を多くもらいたい!

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最近の超高齢化社会では、自宅で親を看取る人が増えていますね。

きょうだいが数人いても、実際に日々の介護を担当するのは一人というケースが多いです。

介護していた子は相続分を余計にもらえる?

もし親が亡くなって、同居して介護していた人が「苦労した分すこし多めに遺産をもらいたい」と思ったらどうすれば良いのでしょうか?

今回は相続における寄与分の考え方を、解説していきたいと思います。

寄与分とは?

民法第904条の2によって、相続人が亡くなった人(被相続人)に特別な援助をしていた場合、その分を法定相続割合に上乗せして相続できるという制度があります。

これを寄与分といいます。

具体的な例をあげると、

  • 生前、父親の事業のために資金を援助していた
  • 実家の仕事を無給で手伝っていた

などが当たります。

では同居して親の介護をしていたケースは、寄与分として認められるのでしょうか?

介護のみで寄与分を主張するのは難しい

寄与分の判断をするとき、民法730条の考え方が基本となります。

直系血族及び同居の親族は、互いに扶(たす)け合わなければならない。

引用元:民法

つまり同居している親族は助け合うことが基本だということ。

すると同居している親の介護をするというのは基本的なことで、特別な援助をしているとは認められません

したがって介護をしているというだけで、寄与分を上乗せするのは難しいという結論になります。

ただ親の通院費用や介護施設のための多額の費用を負担していたのなら、その金額について寄与分が認められることもあります。

基本的には遺産分割協議での話し合い

介護による寄与分が認められないというのは、あくまでも法律上の話です。

実際には寄与分をもらいたい人が、他の相続人(きょうだい達)を説得していくことになります。

原則として相続財産をどうやって分配するかは、相続人が遺産分割協議で話し合って決めることです。

>相続の遺産分割協議っていつまで?間に合わない場合は法定相続分で

ですから「介護していた分を余計にもらいたい」という主張をして、他の相続人が納得すれば、寄与分が認められることになります。

もし他の相続人が同意せず、介護していた人も納得いかないのならどうしたら良いでしょう?

その場合は家庭裁判所での審判になります。

(参考:裁判所|寄与分を定める処分調停

寄与分はどうやって計算する?

では実際に冒頭のケースで、寄与分が認められた場合はどうやって相続分を計算するのか、見ていきましょう。

  • 相続財産の合計:4,000万円
  • 寄与分:100万円

相続財産総額

4,000万円-100万円=3,900万円

 

寄与分のある子の相続分

3,900万円×1/3+100万円=1,400万円

 

その他の子の相続分

3,900万円×1/3=1,300万円

 

相続財産の合計から寄与分をマイナスして、あとで対象の相続人にプラスしてあげるという計算をしています。

ちなみに寄与分がプラスされた相続人は、当然ですが相続分が増えるので、相続税の負担も重くなるリスクがあることに注意しておきましょう。

内縁の妻は寄与分を主張できない

ここまで法的に相続人と認められている(法定相続人)の寄与分について解説していきましたが、そうでない人は寄与分を主張できるのでしょうか?

例えば婚姻関係のない内縁の妻

内縁の妻は法的な配偶者として認められないので、相続権はありません。

ただ遺言書を残しておけば、遺贈という形で内縁の妻へ財産を遺すことができます。

このように遺贈を受けた内縁の妻が、相続時に寄与分を主張することはできるのか?

残念ながら寄与分は法定相続人にのみ認められる制度なので、内縁の妻が寄与分を主張することはできません

生前から遺言書の内容について吟味して、遺贈の中に寄与分を上乗せするようにしておきましょう。

ただし遺贈は、他の相続人の遺留分を侵害することはできません

亡くなった人に他の相続人(子ども等)がいる場合は、その遺留分の請求を受けたら渡さなければならないのです。

出費した分は記録に残しておこう

先ほども触れたとおり、実際にお金を出費した分については金額として分かりやすいですね。

日々の生活費など少額の出費は相互扶助の範囲内なので、基本的には寄与分と認められません。

ただ事業資金や住宅資金など、明らかに亡くなった人の財産を増加させるような出費は寄与分として戻ってくる可能性が高いです。

生前から多額の援助をしているのなら、その都度記録に残しておくとよいでしょう。

義父母の介護をしていた妻は寄与分が認められる可能性も

寄与分は相続人の相続分を上乗せする制度ですから、相続人ではない親族には適用されません。

例えば義父母の介護をしていた長男の妻であっても、相続できる財産はありませんでした。

しかし民法の改正により、特別な寄与をした親族には特別寄与料が請求できる権利が付与されるようになりました。

これによって、本来相続権のない親族も一定の金銭を受けとれるようになったのですね。

くわしくは別記事民法改正で義父母の介護をしていた妻も相続できる【特別寄与料】を読んでみてくださいね。

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