タワーマンション節税とは?効果的だが国税庁の規制に注意せよ!

相続税の節税対策

相続税に関する新聞記事を読んでいると、タワーマンション節税(タワマン節税)という用語を見かけることが多いですね。

これは東京湾岸地域などに多いタワーマンションを購入することで、相続税を節税するテクニックのことです。

ただ節税対策として普及し過ぎてしまったため、最近では国税庁が規制を設けるようになりました。

そこでこの記事では、

タワーマンション節税は具体的にどうするのか?

また今後も節税効果は期待できるのか?

というポイントで詳しくみていきましょう。

タワーマンション節税って具体的にどうするの?

タワーマンション節税は、資産価値の高い分譲タワーマンションを購入する節税方法です。

ご存知の通りタワーマンションの人気は衰えることがなく、マンションによっては新築時より中古になったほうが値段が上がった、なんてケースもありますね。

(参考:新築時よりも中古の価格が高くなる事ってあるの?

このように市場価格が高騰しているタワーマンションですが、相続財産としての評価はそれほどでもありません。

なぜかというと、一般にマンションの財産評価は以下のように行われるからです。

  1. 土地:
    マンション敷地全体の評価額を求めて、各戸の持分割合で按分する。
  2. 建物:
    各戸ごとの固定資産税の課税標準額が、そのまま相続財産としての評価額になります。
  3. 合計:
    土地と建物の合計が、その住戸の財産評価額です。

ここで注目したいのが建物部分。

建物部分の課税標準額は、再建築費を基準とした計算方法で求められています。

評価基準では、再建築費(価格)を基準として評価する方法(再建築価格方式)を採用しています。この再建築価格方式は、評価の時点において、評価の対象となった家屋と同一のものをその場所に新築するものとした場合に必要とされる建築費を求め、その家屋の建築後の経過年数に応じた減価を考慮し、その家屋の価格を求めるものです。

引用元:<都税Q&A><都税:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)> | 東京都主税局

これは建物の費用性に着目した計算方法なので、売買市場の動向を反映していないという欠点があります。

したがって人気のあるタワーマンションの場合、実勢価格より評価額のほうが大幅に安いという現象が起きます。

[st-mybox title=”” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 実勢価格>>評価額[/st-mybox]

一般にマンションは高層階になるほど市場価格が上がるので、そのぶん実勢価格と評価額のギャップは大きくなります。

このギャップを利用したのがタワーマンション節税。

  1. 現金1億円でタワーマンションを購入(タワーマンションの課税標準額は5,000万円とする)
  2. 相続発生
  3. 評価額5,000万円として相続税を申告
  4. 相続税を納付した後、タワーマンションを買値と同じ1億円で売却

というような流れで、節税できるという仕組みなのです。
マンションの相続税評価について詳しくは、以下の記事で解説しています。
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住んでいないタワマンを売るか?貸すか?

相続税対策として購入したタワーマンションを、何もせずに遊ばせておくのも勿体ないですよね。

  1. 築年数が新しいうちに売って現金化する
  2. 賃貸物件として運用する

という活用方法が考えられます。

相続税の申告が終わってから売却すれば、現金として親族で配分することもできますね。
ただ後述しますが、申告してすぐに売ってしまうと課税逃れとして税務署から処分されることもあります。
十分に気をつけておきましょう。

また賃貸物件として運用すれば、空き家にしておくよりも評価額が下がります。
二次相続の対策としても有効でしょう。
賃料収入が入ってくるというメリットもありますね。

マンションを賃貸物件として活用する流れについては、こちらの記事で詳細な解説をしています。
参考にしてください。

タワーマンション節税が国税庁の規制対象になるって本当?

ただこのような節税対策が横行していると、当然国税庁に目をつけられます。

このきっかけとなったのが、国税不服審判所平成23年7月1日裁決と呼ばれるもの。

  1. 亡くなる直前に男性が約3億円でタワーマンションを購入
  2. 亡くなった後そのマンションを評価額5,800万円で相続税を申告
  3. 申告のあとすぐに約3億円で売却

亡くなった男性も子どももこのタワーマンションを使用した形跡がないとのことで、この売買が課税逃れと判断されました。

国税庁はこのタワーマンション相続について、課税標準額約3億円として更正処分を下したのです。

(参考:タワーマンション節税と重加算税 – 弁護士による税務訴訟対応(東京)

さらに平成29年度の税制改正大綱において、タワーマンションの評価額算定方法を見直すことを決定しました。

これによって高層階の住戸ほど評価額が上がることとなったのです。

(参考:平成29年度税制改正の大綱(1/8) : 財務省

まとめ~これからのタワーマンション節税は避けたほうが良い

これまで見てきたとおり、以前は有効だったタワーマンション節税も、現在ではメリットはありません

人気のあるタワーマンションといっても、これからの市場動向によっては価格が大幅に下がるリスクもあります。

小規模宅地等の特例などを上手に利用して、合法的な節税対策をしていきたいですね。

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