不動産を相続したまま放置しておくとこんなリスクがある

相続した家には誰も住む予定がないので、とりあえず放っておこう

もしあなたがこんな風に考えているのであれば、それはとても危険です。
相続した家や土地を放置しておくと、様々なデメリットがあります。
知らないうちに余計な税金を払っていたなんてことも……。

この記事の解説を読んでいただき、相続した不動産を処分する際の参考にしてみてください。

毎年の固定資産税が負担になる

ほったらかしの不動産にも容赦なくかかってくるもの、それが固定資産税です。

固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有している方に負担する義務があります
したがって相続して所有権移転登記をした年の翌年から、さっそく固定資産税がかかるわけですね。

しかも相続した不動産が市街化区域(まちづくりを推進する地域)内の場合は、固定資産税に上乗せする形で都市計画税というものもかかります。

固定資産税や都市計画税の税額は以下の数式で決定されます。

[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 課税標準額☓税率=税額[/st-mybox]

課税標準額というのはその土地や建物の価値を表しているものです。

つまり土地の価格や建物価格が高ければ、それだけ税額が高くなってしまいます。

地価が高いところといえばやはり都市部ですから、都会の土地や住宅を相続した方は、特に固定資産税の負担が重くなるかもしれませんね。

また田舎の土地であっても、農地のように何千坪もの広い面積を相続した場合は、総額が高くなるぶん税額もかさんでくるでしょう。

課税標準額にかける税率ですが、自治体ごとに異なるものの、おおよそ固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%となっています。
したがって両者を合わせると1.7%の税率となりますね。

具体的に都市部と地方の固定資産税額をシミュレーションしてみましょう。

横浜市青葉区の場合

[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 路線価145千円/㎡☓200㎡=30,800千円
30,800千円☓1.7%≒52万円[/st-mybox]

群馬県藤岡市の場合

 

[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]

路線価24千円/㎡☓2,000㎡=48,000千円
48,000千円☓1.7%≒82万円

 

[/st-mybox]

このように、都市部より田舎の土地のほうが土地面積が広い傾向にあるので、固定資産税の負担が重くなってしまう可能性もあるのです。

また空き家を解体して駐車場にした場合は、住宅用地の特例の適用外となって固定資産税の負担が大幅に増えます。
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注意してください。

節税のタイミングを逃してしまう

まあ相続税の額も大したことなさそうだし、まあ放っておけばいいか。
こんな風に考えているのであれば、ちょっと待って下さい。
早めに対策しておけばその相続税額を節税することもできるんですよ。

課税標準額を下げる

相続税の額は固定資産税と同様に以下の数式で計算できます。

[st-mybox title=”計算式” fontawesome=”fa-calculator” color=”#74d0fd” bgcolor=”#e8f7ff” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”] 課税標準額☓税率=相続税額[/st-mybox]

そしてこの計算にある課税標準額は相続税路線価によって税務署が計算しているのですが、実際の土地の市場価値よりも高くなっていることも多いのです。

  • 土地の上に賃貸アパートが建っている
  • 土地の形が不整形で有効利用できない(不整形地
  • 土地に接している道路がない(無道路地
  • 土地の一部が崖(または法面)になっていて建物が建てられない

このようなケースでは課税標準額を大幅に減額することができます。

課税標準額ダウン↓ということは相続税額ダウン↓ということになりますね。

この課税標準額を下げるには私のような不動産鑑定士が土地の鑑定評価を行い、相続税の申告の際に評価書を提出しなければいけません。

相続税の申告は亡くなった日から10ヶ月以内にしなければいけませんから、あまり時間がありませんよね。

できれば亡くなる前からの準備をして、相続が発生したらすぐに行動開始、というくらいのスピード感が必要になります。

申告してから三年を過ぎてしまうと相続税減額の特例が受けられなくなる

田舎の家を相続しても、誰も住む人がいないので放置してしまうケースが多いようです。
誰も住まないのなら売却して現金化しておいたほうが良いと思うのですが、なんとなく手続きが面倒でそのままという方も多いのではないでしょうか?

しかし相続した家や土地を売却するならなるべく早く、最低でも相続税の申告をしてから三年以内に売却を済ませたほうが良いです。

申告をしてから三年以内であれば、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」という制度を使えるのです。
この制度は相続した不動産を売却して得たお金にかかる税金(譲渡所得税)を節税できるというもの。相続したときの相続税、売却したときの譲渡所得税とダブルにかかる税金ですから、なるべく減らしたいというのが本音ですよね。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」については以下の記事で詳しくご説明しています。

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不動産の売却にもスピード感が必要ですから、なるべく早めに行動を心がけてください。

まとめ~相続したままで不要な不動産は早めに売ったほうが良い

その他にも相続した不動産を放置することによるリスクには以下のようなものがあります。

  • 相続人が増えたり認知症になってしまうと、遺産分割協議が遅れる
  • 他人に土地を取られてしまうことも
  • 建物倒壊により損害賠償請求される
  • 土地の境界トラブル
  • (全て内部リンク)

相続した家に住んだり、土地を事業用地として使うのでなければ、早めに売っておきましょう。
特に地方は将来的に不動産の価値が急激に下がっていく傾向にあるので、売るならすぐ行動開始を心がけたいですね。

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